2015年10月10日土曜日

大国主命≪曲玉(勾玉)≫


 ≪大国主命≫

  「大三輪神三社鎮座次第」によると

 「中津磐座大己貴命」とある。

 「大己貴命」は『日本書紀』の表記である。

 『古事記』は大穴牟遅神とあり、

 すでに見たように大国主神となるべく宣告された。
 
 大神神社の境内に大黒谷という地名がある。

 拝殿のすぐ西側で現在磐座神社のある辺りであるが、

 この名称は同社にとって最も重要な禁足地である

 大宮谷の旧名ではなかったかと推測される。

 というのも「中津磐座」は

 この大宮谷にあると考えられるからである。

 禁足地のため一般にはその鎮座地が解らない。

 だが、大国主の本義が「大黒主」であり、

 この大宮谷の「神主」であろう。

 「大国主」は山ノ神祭祀遺跡などで見つかっている

 三輪山に特有の「子持勾玉」に象徴されると考える。

 勾玉は曲玉で、弓のように湾曲している宝石(玉)である。

 大国ははまた「大曲(だいこく)」でもある。

 曲玉である(子持)勾玉には「玉子(卵)」の意味が隠されている。

 古くはこれが「タカタマ」であった。

 「竹玉」と表記してタケタマでなく「タカタマ」と読むのは

 「(2)櫛𤭖玉神」での万葉集の引用のよっても明白である。

 玉が「卵」であるから「タカ」はその「親」の名となる。

 「タカ」が「大国主」に相当する。

 「タカ」は高久、高岐、高との表記されている。

 島根県八束郡東出雲町は元意宇郡に属しており、

 出雲郷が「あだかえごう」と呼ばれているが、

 その理由が阿太加夜怒志多伎吉毘売命の神名に由来すること、

 阿陀加夜怒志が大国主命のことで「多伎吉」が多伎芸で

 竹玉であることは既に述べた。

 簸川郡の多伎町名ともども

 これらは「大黒主」に依るものである。

 「タカタマ」である勾玉は多伎芸となって

 高木神へと『記・紀』の編纂されるころには高揚されている。

 高木神は『古事記』に出る神名で、また高御産巣日神、

 『日本書紀』で高皇産霊尊となり、

 支配的最高神の位置が与えられている。

 奴玉は天照大神より皇孫に授けられたという

 三種の神器のうち「八尺瓊曲玉」として尊重されている。

 曲玉は八咫鏡、叢雲剣とは違い、

 一度として皇孫である天皇の手元を離れて奉祀されたことはなく、

 「万世皇位継承の御璽(印)」となっているのである。

 高木神は大神神社に祀られていない。

 同神がかなり後に神格化されたことが解かる。

 「大黒主」な係わる地名が三輪山周辺に多い。

 穴師、箸中、黒崎、初瀬、長谷である。

 慈恩寺に鎮座する大神神社の摂社玉列(たまつら)神社の

 祭神玉列王子(たまつらみこ)神とは

 「大黒主」である大国主神を表わす。

 玉列とは勾玉ないし「竹玉」を表わしている。

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