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『日本創世紀』:倭人の来歴と邪馬台国の時代小嶋秋彦
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≪青垣と神社≫
※出典:
創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
執筆時期:1999~2000年
※出典:
創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
執筆時期:1999~2000年
「青垣」を三輪山そのものとする考えを述べた。
それは『古事記』の原書に「倭青垣東山」とあることに依る。
「垣」は天門である三輪山そのものであり、
「青」は緑の樹木に包まれていることを想起させる。
サンスクリット語の「垣、囲壁」を表わす
kaksyā は kakṣa と同類で双方とも「帯」の意味を含む。
『古事記』雄略天皇条の歌に
「みもろに築く玉垣」とある「玉」はサンスクリット語の
dāna の音写で「帯、紐」を意味し、
「玉垣」は神殿などの周囲に設けられた垣で、
瑞籬などをいうものである。
帯は環状にして使用されるもので、
mālā は「環」を表わし
御諸の原語 mih(megha)-mālā の構成語で、
環が輪であることから三輪となっている。
この環こそ三輪山の垣なのである。
サンスクリット語 kakṣa (垣) の同義語に kāñci (垣) があるが、
これはラテン語の cingo 、cinxi、cingulum と
祖語を同じくする。
その祖語は北メソポタミアの山脈シンジャール sinjer に
遺留されている。
Sinjer はドイツ語に
Zingel (囲壁、市の城壁、段丘)、
Sigel (市の外壁)となっている。
またサンスクリット語に śṛṅga があり、その本意は「角」である。
パーリ語では śinga と表記される。
シンジャール山脈のある地方はハブール地方で
牛角信仰の主要な地域であったとの考察を
第2章 「メソポタミアと牡牛」で展開した。
同語はまた「小塔、高さ、頂点、山頂、峰」の意味を持つが、
śṛṅga-gāta は「三角形、三角形の場所」を表わす。
その訓音は、śṛṅga-vera が生姜:しょうがを意味するので、
英語の ginger 、ドイツ語の Ingwer にあるように
「シンジャーール」 であることに間違いない。
「角」がカルト(ケルト)人の祖語であることは
第3章 「カルト人の進出」などで考察した。
ラテン語の cerat は「角」であるが、
ドイツ語 Gurt は「帯、紐」である。
これらの用語が持っている概念がシンジャールである。
「青垣」はこの sinjer を祖語とするサンスクリット語の
śṛṅga(シンガ):角を音写した用語である。
メソポタミアのアルパチア遺跡から出土した碗に描かれた
高床式建物の屋根は牛角の形容をみせていた。
その高床式建物を守るために垣、壁が
その高床式建物を守るために垣、壁が
備え付けられただろうことも考察した。
それらを総合した神殿 sig (壁)-gur (穀倉)が
シンジャールなのである。
「青垣」 の音訓は sei-en (日本語音訓)だが、
古語では sin-gan であったとみられる。
垣は「クァン、グワン」と訓まれた。
漢音に於いては qing-yen である。
Singan は śṛṅga またはその同義の śṛṅgaka である。
三輪山はその śṛṅga の概念に合致する円錐形の山容である。
三輪山は確かに緑の樹木に包まれ、
その状態から「青」が連想され用いられたと想像できるが、
実は「青」には別の理由も考えられる。
桜井茶臼山古墳の遺物の中に碧玉製の玉杖があったのを始め、
三輪山の山ノ神祭祀遺跡からは五個以上の碧玉製曲玉、
南麓の脇本遺跡の菅玉など、
この周辺からは緑色、青色の宝玉が多く出土している。
それには理由があり、大物主神であるインドラ神は
indra-nīla といって青玉(サファイア)、
緑柱石(エメラルド)と結びつけられ、
それらの宝玉に飾られているからである。
Nīla は「青、蒼、青緑、紺青」の色を表わす。
さらに「黒い、暗青色」を含む。
Mahā-nīla はサファイアをいう。
この概念が「青」字を使わせたのである。
「神社」は青垣がさらに転訛された表現である。
三輪山は神殿を必要としないので青垣が妥当であったが、
「本殿/神殿」を備えた宮にとってはその表現は相応しくなかった。
神社の定型はアルパチア遺跡の碗に描かれた高床式建物同様、
神体を斎(ゆま)はる聖所への階段があり、
屋根には角状の千木が施されている。
また神殿の前には拝殿が建てられ、その左右から壁を継ぎ、
神殿を包む囲壁とされる。
神殿地には神職以外入れないというのが原則で、
ここが天空界であることを示唆している。
その象徴として鳥居を設け神社が天空界であることを参拝者に
教えている。
神社(ジンシャ)とは日本固有の用語ではなく、
ハフリ:祝と同様メソポタミアから始まった宗教用語なのである。
第5章 旧約聖書「創世記」でみたように祝祭の宗族ユダヤ教の
宗教施設シナゴーグ synagogue (英語) も、
「集会所」がその役柄で、宗旨として神体を持たない理由によるが、
その祖語も sinjer であろう。
キリスト教の教会
kirche(ドイツ語)、
church(英語)なども
祖語は「角」である kert である。
「神社」が
サンスクリット語の śṛṅga 、
パーリ語の sīng (角)= sinjer に
由来するとして少しもおかしくない。
《参考》
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
(アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている)
牛頭を象った神社建築の棟飾部
高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、マルタ十字紋等
(アルパチア遺跡出土の碗形土器に描かれている)
牛頭を象った神社建築の棟飾部
本生図と踊子像のある石柱
Tell Arpachiyah (Iraq)
Tell Arpachiyah (Iraq)
ハラフ期の土器について
ハブール川
ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿
牛頭を象った神社建築の棟飾部
神社のルーツ
鳥居のルーツ
Tell Arpachiyah (Iraq)
ハラフ期の土器について
ハブール川
ハブール川(ハブル川、カブル川、Khabur、Habor
、Habur、Chabur、アラム語:ܚܒܘܪ, クルド語:Çemê Xabûr, アラビア語:نهر الخابور Bahr al-Chabur
ARPACHIYAH 1976
高床式神殿
牛頭を象った神社建築の棟飾部
神社のルーツ
鳥居のルーツ
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