2015年9月16日水曜日

婦人服のルーツ


 ≪婦人服のルーツ≫

 埴輪でわかる婦人服の特徴は、

 前身(み)ごろが広く、肩の前と胴で止めている。

 これは中国奥地からタイ国産地に住むリス族や、

 中国東北部の満州族、

 シベリアのギリヤーク族の衣服と、

 右前である点を除けば共通点が多い。

 埴輪の女性たちは頭に何かをのせている。

 従来はこれを後世の島田髷のようなものとしてきたが、

 リス族もギリヤーク族も帽子をかぶっているのをみると、

 帽子でなかったとはいえないと思う。

 埴輪の中にはは袈裟襷をかけているのもある。

 この習俗は現代でもタイ国女性の公式の風俗である。

 タイ国には古来、山地民族が混住し、

 リス族のわらじが

 日本のものとそっくりであるように

 同じ水稲文化を分けあっている。

 日本語と関連のあるタイ語も多く、

 小唄などにもよく似たものがある。

 タイの人々とは山地民族だけでなく、

 古代の交流が充分考えられるのである。

 弥生時代には埴輪のようなものは残っていないが、

 『倭人章』が3世紀当時の弥生人のスタイルについて、

 詳しく記録しており、

 それには

 「婦人は中国の単被(タンピ)のようで中央に穴を開けたものを、

  頭を貫いて衣ている」と書いてある。

 当時の中国の単被は下着で、

 布を二つ折りにして頭を出す部分を切り、

 両脇をひもで結ぶ簡単服で、

 チャイナ・ドレスの原型である。

 これに似て「頭を貫いて衣る」服を

 現代もなお守り続けている人々が、

 ビルマとタイ国にまたがって住むカレン人である。

 その服は頭と両手が出る部分を残してとじ合わせただけの、

 ごく簡単なものである。

  ※出典:加治木義博
     「日本人のルーツ・保育社(カラーブックス):7・8・22頁」

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