2012年2月21日火曜日

マレー語に関する章(6)



 《日本語~マレー語:共通単語の証言

 方言以外まったく説明を必要としない言葉が、ずらりとならんで、

 これまで日本独得のことばと思っていたものが、

 海の向うで現在も話されているという事実に、

 今更のように感銘があつたと思う。
 
 しかもこれはからまでの部分の中で、対応の状態が複雑なもの、


 方言化や変型のみられるものを除外した残りだけである。


 その総量がどれ位になるかは想像できると思う。


 次は、


 順番に拾っただけのこの材料を使って、


 これらの共通語がどういう特徴や傾向をもっているかを調べてみょう。


 これは量としては少いが無作為に集めたものだけに、


 充分全体の状態を代表していると考えられるからである。


 まず眼につくのは古い日本語の型をもっていることである。


 有らぬ、在らす、あれへ、あまつさえ、荒る、振りすつる。


 といった言葉は、


 一見しただけで古い時代のもので近世の交流によるものでない事がわかる。


 次に印象的なのは番外地などの<番外>という単語をはじめ、


 <不恰好>、<悋気>、<我慢>、<苦労>、<拳骨>といった


 日本製漢語のようなものが、ちゃんとあったことである。

 もちろん、

 マレー語圏には古来中国の人々が多数移住して重きをなしているから、

 中国語が沢山まじっている。

 しかしそれらは発音に特徴があるため、

 過去のマレー語学者もちゃんと見分けていて、

 出自が中国であることを、辞書などでも明記しているので、はっきり区別でき、

 それらは、他の語源のものと共に除いてあるのである。

 第三に特徴的なのは、

 鹿児島方言との近似性が特に高い、という点である。

 また、<ツ>を<チュ>と発音するのは沖縄弁で、

 さらにハッキリ河内や和歌山弁、

 いわゆる江戸っ子弁も見あたる。

 これらは、

 ざっと見て<黒潮域>の人々のもの、

 あるいは<隼人系>とでも分類すべき人々の居住地域、

 表日本語とのつながりを証明しつつある。


 第四に

 これらの単語は、一つ一つが、さらに他の日本語の語源的役割を果していることがわかる。

 <有>と<在>の<アル>は、日本語ではさらに<所有>と<居住>の、

 ありとあらゆる語に関係しており「粗い」「荒い」も、<粗末>から<暴力>、<波乱>の意味に

 広い機能を発揮している。

 さらに新しい単語を一つ例にあげると、<カタング>=(背負籠、肩掛袋など)。

 という単語は、

 一方では鹿児島方言の担(かた)ぐと結びつき、

 それは肩(かた)という単語と

 結びつき、担ぐの語源が「肩上(かたあ)ぐ」であったことと、

 いま「担(かつ)ぐ」といっている標準語の方が、

 <カタグ>よりもさらに靴って方言化したものだ、ということなどがわかるのである。

 また<カタング>の語尾の<グ>と、

 さきに見た<ガリング>(からい寵)の<グ>とは共に<籠>を意味している。

 このことで<カゴ>という音は、<ング>と対応することがわかる。

 <カ>と<ン>は、助詞の「ガ」と「ヌ」であつて、ともに「の」にあたることばであったから、
 
 <ン>が<ガ>になりさらに<カ>になったものと、

 <グ>が<ゴ>になったものであることをつきとめられるのである。

 では<ヌ>と<ガ>、<グと<ゴはどこで交替したか。

 これはもうすでに沖縄語と鹿児島語との対比で幾度も幾度も見てきた所である。

 マレーの<ングが沖縄で<ヌグ>になり、さらに鹿児島で<ガゴ>になり、

 さらに<ガ>だけが清音化して<カゴ>になったのである。

 ところが、この籠は古く<コ>と発音されたことも多く記録に残っている。

 これは、<ガゴ>の<ガ>を助詞として取去ったものを、

 さらに清音化した人々がいたことを物語っている。

 それは一体だれであったか?

 これもまたよく御存知の<カコシマ>と発音する人々、

 鹿児島に建国したのち、

 朝鮮半島へ移住した天孫降臨神話の持ち主たちだったのである。

   言語復原史学会
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 《参考》
 古代時代の考古学の最新発見・発表・研究成果
 最新の考古学的発掘の方法
 存在価値が問われる我が国の発掘考古学の現状

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